増え続ける共働き家庭

増え続ける共働き家庭

増加した共働き家庭

21世紀に入る前、20世紀の日本では共働きの夫婦というのは一般的な形ではありませんでした。特に1990年頃までは夫が外で仕事をして給与を稼ぎ、妻は家庭に入って専業主婦を務めるというのが一般的なモデルだったのです。しかしそのような夫婦の形は1990年頃から徐々に崩れ出し、2000年を超えて21世紀に入ると少数派へと転じます。
このように夫婦の形が変わった背景には幾つかの要因がありますが、一番は経済環境の変化でしょう。戦後、高度経済成長を続けてきた日本経済は1990年前後のバブルをピークに失速し、特に90年代後半以降は平均賃金も下落傾向にあります。一家の大黒柱たる男性正社員のリストラや正社員に比べて身分も安定せず稼ぎも少なくなりがちな非正規雇用の一般化も90年代以降の出来事です。このような経済環境の変化に伴い、夫が外で稼ぎ妻は専業主婦として家庭を支えるというのは一部の稼ぎの良い人たちにしか許されない贅沢となりました。平均賃金が下がった分、妻も外に出て稼ぐ必要が出てきたのです。またこうした経済的な要因以外にもこれまで続いてきたような男尊女卑的な傾向を改め、女性の雇用を守ろう、男女平等を実現しようというフェミニズム運動が80年代から90年代にかけて活性化していたというのも大きな要因です。このような運動の活性化が女性の社会進出の違和感を少なくしました。

夫の家事への協力

上記のような夫婦の形の変化に伴って家庭内の夫婦のあり方や関係性にも変化が生じます。現在は新聞やテレビなどのメディアでイクメンという言葉を耳にすることが増えましたが、家事や育児に積極的に協力する夫が多くなりました。妻も外に出て稼ぐのだからこれまで妻が担っていた家事労働を夫も行うようになったということです。以前にも休日には家事を手伝うという夫は多かったのですが、平日にも家事を行う夫が増えました。特に夫婦仲の良い家庭ほど夫が積極的に家事も担当し、例えば料理は妻が、食器の洗浄や片付けは夫が担当するというふうに上手く役割分担をしています。

日本の伝統的な家庭

なおこのように家庭内で男女の役割が同じというモデルは新しいことのように感じるかもしれませんが、実は戦前の日本の家庭の一般的な姿でもあります。戦前の日本人は人口のほとんどが家庭内で農業に従事しており、男性も女性も区別なく田んぼや畑を耕していました。そして家事や育児も共に行っていたのです。ところが戦後の高度経済成長に伴って農業から工業への産業のシフトが生じ、それに伴って男性がサラリーマンとして外で稼ぎ女性は家事を担当して家庭を守るというモデルが一般化したのです。

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